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かつて、イギリスにはスキンヘッズと呼ばれた反体制の若者集団が存在した。映画「THIS IS ENGLAND」ではトレードマークのスキンヘッドにドクター・マーチン、タイトなジーンズにベン・シャーマンのボタンダウンを身にまとい、自らの思想を貫く彼らの様子が生々しく描かれている。時代の流れと共にその陰をひそめていったが、彼らの意思は確実に今の世代にも受け継がれているようだ。
イギリス・マンチェスター出身のバンド、ウー・ライフはプロフィールを公開せず、アーティスト写真には覆面、また地元以外ではほとんどライブも行っていないにも関わらず、その圧倒的なパフォーマンスで世界中から注目を集める脅威の新人である。マンチェスターの教会で制作されたというこのデビュー作「Go Tell Fire To The Mountain」では、荒々しくロー・ファイなバンドサウンドに感情むき出しのヴォーカル、そして賛美歌のように神聖なオルガンが響く。メロディアスで耳触りの良い作品とは言えないが、荘厳で狂気に満ちた本作は社会に対する彼らの確固たる思想を色濃く、どこまでもリアルに描き出している。
「Riot!」と高らかに叫んだ過去のパンク・ロッカー達とは異なり、ウー・ライフが暴動や革命を明言することはない。しかしそのパフォーマンスや佇まい、ひいては宗教観にいたるまで、かつてのスキンヘッド達の生き様を彷彿とさせてしまうほど、彼らの音楽は力強い。ねじ曲がることのない彼らの信念は、白いマスクなどでは隠しきることはできないようだ。
text: honeyee.com
WU LYF 「Go Tell Fire To The Mountain」
2011年7月6日発売
2,200円[税込]
LYF003J(HSE-30268)
LYF Recordings / Hostess
※日本盤のみ歌詞対訳、ライナーノーツ付