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『スター・トレック』

『スター・トレック』

人類の運命と希望を描いた
ノンストップ・スペース・エンターテインメント

09 6/02 UPDATE

「宇宙......それは人類に残された最後の開拓地である」......。

ちょうど『スター・ウォーズ』が本国から1年遅れで日本上陸した前後だったか。それまでだって何度も再放送されていたのは知っていたが、断片的にしか観ていなかった『宇宙大作戦』が、平日の深夜に毎日、帯で全話放送されたのだ。

当時中学生の僕は、いやあ、ハマった。それ以前にいっぱしのSFファンにはなっていたが、スタトレにはかなりのめりこんだ。エンタープライズのプラモデルも造った(笑)。もちろん映画版として再生したシリーズも続けて観に行った(次第にがっかりすることが多くなったが)。それ以降の「スター・トレック」シリーズもチェックはし続けたが、『ネクスト・ジェネレーション』はともかく、あとはおざなりなのでとてもトレッキーと名乗れるほどではないのですが。

今回、ひさしぶりに甦った映画版は、僕が一番好きなオリジナル・シリーズの前日譚だ。しかし、リニューアルだのリ・イマジネーションだのという言葉が飛び交っている。大丈夫かいな。まぁこのシリーズに関してはもはやアメリカ文化の一部だし、ただでさえトレッキーやトレッカーという怖ぁぁい人々が山のようにいるので、そう無茶はしないだろうとは思ってたけど。

で、だ。

あははは。こんなにトリビアだらけとは思っていなかったよぉ。ま、スタトレいちげんさんでも、とりわけジェームズ・T・カークとスポックの青春についてはたっぷりと描かれているので(アイオワの荒れた一本道をバイクで突っ走るカーク、なんていかにもで泣かせる)、独立した一本の映画として観て(たぶん)大丈夫だ。しかしもはや僕はそういう冷静な目ではとてもとても観ていられない。それくらい40年の歴史が1シーン1シーンに詰まりに詰まっているのだ。監督のJ.J.エイブラムスはトレッキーではないというが(演出もアングルが終始TV臭かった『M:I:III』に比べると格段の進歩)、脚本家は相当以上の好き者に違いない。

たとえばドクター・マッコイがどうして「ボーンズ」とジェームズ・T・カークに呼ばれるのか? とか、ウフーラのファースト・ネームは何なのか? とかいう謎の解明。各キャラクターの特技や特徴や性格(たとえばカークの女好きとか、スールーのフェンシングとか)のこまごまとした踏襲。こういうところにうるさがたファンが(僕みたいに)驚喜するのは目に見えている。トレッキーならこれ一本で6時間くらいは優に喋れるはずだ。

だが驚くべきはこの映画、硬直化した(とファン以外の人はみるだろう)世界像に、新しい展開の可能性を生み出してしまったことなのですね。ま、反則といえば反則だが(笑)ここまで丁寧に道筋つけちゃえば誰もが納得するに違いない。マニアはラストの数ショットで必ず泣いちゃいますから。

Text:Milkman Saito

『スター・トレック』

監督:J.J.エイブラムス
脚本:ロベルト・オーチー、アレックス・カーツマン
出演:クリス・パイン、ザッカリー・クイント、エリック・バナ、ブルース・グリーンウッド、カール・アーバン、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペッグ、ジョン・チョウ、アントン・イェルチン、ベン・クロス、ウィノナ・ライダー、クリス・ヘンズワース、ジェニファー・モリソン
原題:Star Trek
製作国:2009年アメリカ映画
上映時間:2時間6分
配給:パラマウント・ピクチャーズ

大ヒット上映中!

http://startrek2009.jp/

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