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安定した人気と抜群のリピート率を誇る「サイ（Scye）」。彼らの服づくりの軸にあるのは、デザイナー日高久代とパターンカッター宮原秀晃のセッションによる、素材の選定とカッティングにあり、現在は、メンズ・ウィメンズともに展開し、2つのラインでコレクションを構成している。2013S/Sでは、いつも通りの安定感をみせながら、カラーパレットの提案や素材の奥行きなどから、しっかりとした鮮度を打ち出した。

2007年からスタートした「サイベーシックス（SCYE BASICS）」の定番であり、すでにブランドの人気アイテムとして定着しているポロシャツは、鮮やかに彩られた綿ベアロバージョンが登場。鹿の子とはひと味違う肌触りも特徴だ。この4点のなかで、群を抜いて提案性の強いアイテムが、ポリエステルシルクのミリタリージャケットであろう。ソリッドなデザインと形状記憶する素材とのコンビネーションは着込むと独特の表情をつくる。人気アイテムであるショーツの解釈も実に面白い。シックな柄の張り感のあるラミーを天日干した素材に使い、ストレッチバインダーテープで渡りの太さを強調するシルエットを提案。意外に合わせやすいマスタードのジャケットは糸の表面だけを染めるハーフダイという染色を起用したアイリッシュリネンの先染めのツイルという、これまたユニークな素材を出し惜しみなく使っており、パターンメイキングもこだわり抜かれている。

イギリスの伝統的なスタイルをコンテンポラリーな仕様でブラッシュアップしたアイテムはどれも着やすく、幅広いファッションと絶妙なバランスで合わすことができる。

photo: Masaki Sato
text: Tsuneyuki Tokano