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トラッドをベースにしたオルタナティブなスタイル提案が話題となっている「トッド スナイダー（TODD SNYDER）」。2012A/Wでは、かつて写真家の「ブラッサイ（Brassai）」がフィルムに収めた魅惑的なパリの夜からインスピレーションを得て、奥行きのあるクリエイションを行っている。「パリのアメリカ人」を連想させるコレクションは、絶妙な素材使いや色彩感覚が息づいており、文字通りシックにまとまっている。ただし、根幹にあるのはあくまでトッドらしいヴィンテージライクなアメリカのスタイルであることも付け加えておきたい。

すでにブランドの定番となっているこちらのB.D.シャツは、薄手で張りのある独特の生地感。小さめの襟や狭めのカフスを中心に、様々なディテールで工夫を凝らし、モダンなスタイルへと昇華させている。堅牢度が高く、なおかつ柔らかさを備えたワークシャツは、機能的なディテールを取り入れつつも、うまくファッションとしてまとまっている。非常に鮮度の高いインディゴのクルーネックのスウェットシャツは、カナダ製でクオリティも安定しており、この手のアイテムではめずらしくスタイリッシュな印象。メリノウールとカシミア混紡のベストはレトロに行き過ぎない落ち着いた印象。タイトなスタイリングのレイヤーで重宝する。

これらのコレクション全般で共通するのが、あくまでもモダンという点で、着こなしに差すと程よく馴染み、ワードローブに欠かせない1枚へと変化していく。

photo: Masaki Sato
text: Tsuneyuki Tokano