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「みずとこめに」展 exhibition "for water and rice"

「みずとこめに」展 exhibition "for water and rice"

工芸の町に現れる"こめ"と"みず"の神饌空間。

11 5/25 UPDATE

江戸時代、各地から集められた匠たちが多く居住する城下町として栄え、戦後、柳宗悦の唱えた「民藝運動」に共感した人たちによって、活発な工芸品製作がおこなわれてきた長野県松本市。こうした工芸と地域との長い関わりが礎となって生まれた「クラフトフェアまつもと」は27回目の開催を迎え、今年も全国から280名を超えるクラフトマンが「あがたの森公園」に集まり個性あふれる作品の展示が行われる。

そして今回、国内を代表するこのクラフトフェアと連動した、注目のインスタレーション空間が松本に現れる。松本市美術館にもほど近い私邸である池上邸の庭と蔵で行われるこの企画のテーマは、日本古来より神へのお供えとして、自然信仰の一環として、尊いものとされてきた"こめ"と"みず"。栃木県からギャラリーヤマモトの山本千夏をプロデューサーに迎え、元麻布でギャラリー「さる山」を営む猿山修によって陶芸家、濱中史朗(大屋窯)の器がしつらえられた空間が、神への祈りとして提示される。

松本を象徴する水、水が育む米、米を蓄えた池上邸の蔵。そのすべての事柄に"神が宿るよう"意識される空間は、神に供える"こめ"と"みず"の神饌となる。さらに会場では、カピン珈琲(山口県)のコーヒーと三松堂(島根県)の羊羹、大嶺酒造(山口県)のお酒と酒粕入り氷菓子、菱友醸造(長野県)のお酒と日本酒入りチョコレートの販売も行われる予定。

プロデューサーの山本も語る様に、神聖であると同時に身近な水と米を通じた空間体験が、好きな器を使って食卓を整えること、おいしい珈琲やお酒を飲むといった日々の暮らしのささやかな発見や変化に、日常と非日常を行き来する楽しみをあらためて実感する機会となるだろう。

text:honeyee.com

工芸の五月 2011年 「みずとこめに」
於池上邸米蔵
長野県松本市中央3-13-11
http://matsumoto-crafts-month.com/

5月28日(土)、 29日(日)
10am - 5pm

猿山修/ギュメレイアウトスタジオ、さる山―しつらえ、金物
http://guillemets.net/
濱中史朗/大屋窯―陶磁器
http://www7.ocn.ne.jp/~ooya/
亀谷靖之/カピン珈琲―珈琲、菓子
http://www.capime-coffee.com/
秋山剛志/大嶺酒造―酒、菓子
http://www.ohmine.jp/
近藤昭等/菱友醸造―酒、菓子
http://www.mikotsuru.com/
山本千夏/ギャラリーヤマモト―制作進行
http://gyamamoto.exblog.jp/

いつも身近にある水と米ですが、日本では古来より神様へのお供えとして、また自然信仰の一環として、それ自体が尊いものとされてきました。当たり前と特別。見え方、捉え方が少し違うだけで、そこにあるものも空間も全てがいつもとは違うもののように感じることがあります。この感覚は、好きな器を使って食卓を整えることや、おいしい珈琲やお酒を飲むといった日々の暮らしの中で、常に起こり得るささやかな発見や変化に通ずるものではないかと思います。
「みずとこめに」が、日常と非日常を行き来する楽しみをあらためて実感する機会となればうれしく思います。
どうぞお出掛け下さい 
──山本千夏/Gallery Yamamoto