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世界権力者 人物図鑑

世界権力者 人物図鑑

現代世界の政財界VIPをぶった斬る人物大図鑑

10 4/08 UPDATE

これは......ひさびさに出た、超ド級のスペシャル・バカ本! かもしれない。著者の熱心なファンの人には怒られてしまうでしょうが、だって面白すぎるんだもの。
 
一応その体裁は「気鋭の国際派ジャーナリストが、写真集(or カタログ)形式で斬る、現代世界の政財界VIP大図鑑」ということになっている。フルカラーで写真多数。見開きごとに人物やテーマが整理されていて、非常にスマートで、わかりやすい。一見すると、「ビジネスマン必読」といった趣。ただしよく見ると、それらVIPの写真の上には「もう帰れ」「ワル」「気持ち悪い」などと、目を疑うようなキャプションが乗っていたりするわけで......。
 
前書きからしてすごい。「検察を動かして民主党を潰そうとしている勢力の黒幕はジョゼフ・ナイ教授」「オバマは2011年のうちに任期途中で退任」「その後をヒラリーが受けて大統領就任」「私は予言を外したことはない。これらの予言はすべて当たる!」──この地上のすべてを動かす〈世界皇帝〉はデイヴィッド・ロックフェラーだから、その意に添わないオバマは飛ばされる、そうだ。デイヴィッドの息子、ジェイの薫陶を受けた小沢一郎こそ、「彼ら」が選んだ日本国王、だそうだ。そのほか、〈皇帝〉らの意を汲んで中川昭一のワインに薬を一服盛って朦朧会見を仕込んだ奴はこいつだ! とカラー写真で名指し(いいのか?)。ライスはブッシュの愛人だし、アーミテージは影の麻薬王だし、アポロ11号の月面着陸を偽装(えっ? 偽装だったんですか?)したのは「ワルの元締め」ラムズフェルドだった!──なんてフレーズが、さも「これは常識ですが......」といった感じでさらりと出てくるので一行たりとも見逃せない。いやあ。
 
そんなのは陰謀論だろう! と一蹴してしまうのは簡単でしょう。でも個人的には、世の中この本の中身どおりのほうが面白くっていいんじゃないか、とか。まあ、自分を「堅実なホワイトカラー&知的エリート」だと規定しているような人は、決して近づかないほうがいい一冊だとは思いますが──でもそんなものが、書店のビジネス書コーナーに平積みされている! というファンキーな現状が日本にあることも事実。ちょっとトンデモかもしれませんが、でも本書がテレビの脇にあれば、CNNやBBCニュースを見るとき、これまでとは一味違った楽しみかたができるかも......といった意味で、お洒落かもしれない一冊です。

Text:Daisuke Kawasaki(Beikoku-Ongaku)

『世界権力者 人物図鑑』

副島隆彦・著
(日本文芸社)
1,575円[税込]