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道後オンセナート 2014

道後オンセナート 2014

温泉×アートな旅へ。「道後オンセナート 2014」で「HOTEL HORIZONTAL」に泊まる。

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今から3000年前、白鷺が傷を癒したことから発見され、6世紀には聖徳太子が訪れた、との記録もある道後温泉。日本最古の温泉とされるこの地には今も緩やかな坂に沿って旅館が建ち並び、のんびりとした風情を見せる。そのクラシックな温泉旅館の一室の扉を開けると、そこには強烈な世界が。アーティストやデザイナーが客室を一つずつ、まるごと"作品"にしてしまっているのだ。これは道後温泉本館の改築120周年を記念して開かれるアートフェスティバル「道後オンセナート 2014」の参加作品「HOTEL HORIZONTAL(ホテル ホリゾンタル)」。4月10日のグランドオープンに先駆けて、12月に5部屋が先行オープンした。

壁も天井も、そして畳の縁まで草間彌生のカラフルな水玉で埋め尽くされたのは「宝荘ホテル」の一室。ベッドカバーとカーテンは赤地に白のボディ・フェスティバル、床の間には半立体の黄色と黒の南瓜が鎮座する。ハートが点滅する座卓はここでしか見られない貴重品。クローゼットを開けるとニューヨークでのファッションショーの写真が。天才写真家、荒木経惟は「ホテル古湧園」の襖に『緊縛』と題した写真を配した。日本家屋を背景にしたしっとりとした着物の女性たちはいかにも温泉街らしいけれど、荒縄で縛られて女の情や念をあらわにする。

「道後舘」には詩人、谷川俊太郎が道後温泉を訪れ、そこで仕事をする、という設定で客室が整えられた。部屋のあちこちの、ときに意外な場所に彼の詩が現れる。谷川の愛蔵書やパソコン、自宅に飾っているオブジェなどが置かれて、ほんとうに詩人の仕事場におじゃましたような気分だ。デスクの上にある顕微鏡はぜひのぞいて欲しい。そこにも詩が隠れている。

フィンランドのファブリックブランド、マリメッコや製陶所、アラビアのデザイナーとしてフィンランドで活動してきた石本藤雄。彼は道後温泉の近く、陶芸で有名な砥部町の出身だ。その彼がホテル「茶玻瑠」で作った部屋は砥部焼の窯元とコラボレーションして作ったカップやアラビアで作った花のレリーフ、マリメッコのデザイナー時代に制作したファブリックを使ったリネンでコーディネートされている。「花ゆづき」では皆川 明が床も壁も天井も正方形の琉球畳で覆った部屋を作った。2本の木が枝を延ばす障子には皆川の直筆で木の葉と小鳥が描かれている。天童木工製の座椅子にあわせたファブリックは使っていくうちに擦れて、グリーンへと色合いが変わっていく。部屋では皆川がセレクトした音楽を楽しめる趣向も。

宿泊料金は部屋や時期によって異なる。昼間は有料で見学も可能だ。「宝荘ホテル」の1階には「道後オンセナート 2014」の期間中、草間彌生の「水玉カフェ」がオープン。4月10日のグランドオープン時にはさらに5つの"泊まれるアート"が加わり、中谷芙二子の霧のアートが道後温泉本館を包む。4月10日〜13日には道後温泉本館でライゾマティクスによるプロジェクションマッピングも。温泉街をそぞろ歩いてアートと出合い、温泉につかって、部屋で一杯やりながらアートに包まれる、なかなかできない体験だ。

text:Naoko Aono

道後オンセナート 2014
2014年4月10日〜2014年12月31日
愛媛県松山市道後温泉周辺
http://www.dogoonsenart.com/

ホテル ホリゾンタル
先行5部屋〜2015年1月12日 残り5部屋は4月10日〜2015年1月12日

草間彌生『わが魂の記憶。そしてさまざまな幸福を求めて』宝荘ホテル 
見学1000円 宿泊ひとり1泊19,500円税別〜(1室4名利用時 夕食・朝食オプション)

荒木経惟 『楽園』 ホテル古湧園 
見学300円 宿泊ひとり1泊19,800円税別〜 (1室3〜4名利用時1泊2食付)

谷川俊太郎 『はなのいえ』 道後舘 
見学2,000円 宿泊ひとり1泊33,000円税別〜(1室4名利用時1泊2食付)

石本藤雄 
『Suuri Taiga / 大草原 』 茶玻瑠 
見学700円 宿泊ひとり1泊27,000円税別〜(1室4名利用時1泊2食付)

皆川 明 『ロ』花ゆづき 
見学500円 宿泊ひとり1泊25,000円〜 (1室3名利用時 1泊2食付)


1宝荘ホテル
© YAYOI KUSAMA / Dogo Onsenart 2014 & HOTEL HORIZONTAL

2ホテル古湧園
© NOBUYOSHI ARAKI / Dogo Onsenart 2014 & HOTEL HORIZONTAL