12 12/12 UPDATE
400年の歴史を持つ古来からの陶業の地、山口県萩市。萩市南方の日輪山の麓に濱中月村により開窯された大屋窯は、茶陶から日々の器に至る萩焼の陶器だけでなく、洗練された磁器でも近年注目を集めている。
萩焼と云えば陶器であり名高き茶陶として広く知られているが、江戸の一時期には陶器と並び盛んに白磁が焼かれていたという。時代の要求によって陶器のみが賛美され、ながらく途絶えていた萩焼の磁器を実に55年振りに復活させたのが、大屋窯だ。
先代を引き継ぎ「大屋窯」代表となった濱中史朗による磁器は、骨が艶めいたような白が独特の静謐さを感じさせる白磁、そして、まるで金属器や布革のような艶のある黒の器といった、モダンでスタイリッシュな第一印象の中に、身体、祈り、生と死といったような精神性が内包されている。
濱中史朗とも親交の深い猿山修が主宰する元麻布のギャラリー「さる山」での個展は、その年を締めくくるように毎年12月末に開催される。今年も白磁を中心としたグラス類、壷、碗、茶碗をはじめ、ピッチャー、プレート、ロウ台、スカル、黒の器、そして写真にもある面取りが特徴的な8面体グラスなど、新たな試みも楽しみな構成だ。また、関連イベントとして同じく山口県の大嶺酒造によるOhmine(日本酒)を濱中史朗の器で呑む事ができるOhmineBarが会期中の12月21日(金)に開催される。
濱中史朗の器の魅力を熟知した猿山修が語る以下のメッセージを読むと、「あの器」を今年も早く手に取りたくなるのだ。
「毎朝、水を呑むときに使っている彼からもらった大振りのカップは、持った感じも口当たりもすこぶる好くて、使う度、飽きることなく幸せな気持ちになります。特別なお酒でもなく、こだわりの珈琲でもなければ、おいしい湧き水でもない。浄水しただけのまったくどうということのない水を呑むとき、なんでもないものがおいしく感じるというだけでなく、器そのものの存在を、素のまま直に感じる瞬間であるようで、不思議に慣れることはなく、毎回はっとさせられるのです。お忙しい時期だと思いますが、是非ご来場下さい。 ー 猿山修」
photo: Tadayuki MINAMOTO
text: Akihiro Hayashi
alternative white
濱中史朗展
於「さる山」
2012年12月15日(土)より23日(日)迄
営業時間:1- 6pm 会期中無休
東京都港区元麻布3-12-46和光マンション101
tel: 03-3401-5935
http://guillemets.net/
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Ohmine Bar @ alternative white
12月21日(金)16:00より
料金:Entrance Free
http://www.ohmine.jp