11 10/11 UPDATE
「一枚の布」をテーマに衣服づくりに取り組んできた三宅一生。すみずみまでゆるがせにしないシャープな写真を撮り続けたアーヴィング・ペン。三宅一生が自らの服をペンが撮った写真を見て、その独創性に驚いたことが二人のコラボレーションのきっかけだった。その後、87年から99年まで年2回、三宅がコレクションで発表した服をペンが撮影することになる。その写真はグラフィックデザイナー、田中一光によるポスターや書籍にもなった。今開かれている展覧会では二人の類いまれなクリエイションの軌跡をたどることができる。
ギャラリー1ではこの展覧会のために作られたアニメーションが上映される。三宅一生が服を作るところから始まり、ショーで発表、その服をニューヨークのペンのスタジオで撮影、それを田中一光がポスターにするところなどがつづられる。アニメーションのもとになったドローイングは雑誌「ニューヨーカー」で活躍するマイケル・クロフォードが描いた。パスカル・ルランがディレクションしたアニメーションには三宅とペンのやりとりも再現されていて、創作の秘密をのぞき見しているような気分になれる。
ギャラリー2では、幅30メートルを越えるスクリーンに次々とペンの写真が現れる。高精細なプロジェクターが映し出すくっきりとした陰影から、妥協しない二人のクリエイションが伝わってくる。三宅一生はペンの撮影現場には一度も顔を出さす、ディレクションもしなかった。すべての撮影に立ち会ったのは展覧会のディレクターを務めている北村みどりだ。三宅とペンとのコラボレーションは言葉による対話ではなく、視覚的な対話(Visual Dialogue)によって行われていたのだ。普通では考えられない重ね着や大胆なポージングに、ペンのユーモアも感じられる。三宅は、服を作った本人には想像もつかない写真ができあがってくるのを楽しみにしていたのかもしれない。
この他に、撮影に際してペンが描いたスケッチの複製画や、彼のオリジナルプリントなどが並ぶ。会場構成は建築家の坂茂。鋭い美意識がぶつかりあった現場を、変化に富んだ空間で体験できる。
text:Naoko Aono
「アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue」展
開催中〜2012年4月8日
21_21 DESIGN SIGHT
東京都港区赤坂9−7−6 東京ミッドタウン・ガーデン内
tel: 03-3475-2121
11時〜20時
火曜休館(11月1日、3月20日は開館)12月27日〜1月3日休館
入場料1,000円
http://www.2121designsight.jp/
アーヴィング・ペン「Vegetable Face(B)」ニューヨーク、1995年。
Copyright by The Irving Penn Foundation
ISSEY MIYAKEコレクションポスター、1994年春夏
写真:アーヴィング・ペン、ポスターデザイン&タイポグラフィ:田中一光
Photograph copyright by The Irving Penn Foundation
アーヴィング・ペン「ISSEY MIYAKE Staircase Dress」ニューヨーク、1994年。
Copyright by The Irving Penn Foundation
マイケル・クロフォードによる「Irving Penn and Issey Miyake: Visual Dialogue」のためのドローイングより
Copyright (c) 2010 by Michael Crawford