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イェッペ・ハイン 360°

イェッペ・ハイン 360°

光や空間を遊びつくす、ユーモアと茶目っ気のあるアート。

11 4/08 UPDATE

さっきは部屋の右側を通ってきたのに、戻ろうとしたらそこは通れなくなっていて、反対側に通路ができている。じっと見ていてもわからないぐらいの速さでゆっくりと、壁が動いていたのだ。デンマーク出身のアーティスト、イェッペ・ハインの作品にはいつも、こんなユーモアが込められている。4月29日から金沢21世紀美術館で開かれる『イェッペ・ハイン 360°』は、彼にとって日本の美術館では初めての個展。大人から子供まで楽しめるものになるはずだ。

たとえば「回転するピラミッドII」は壁に取り付けられたピラミッド型の鏡がゆっくりと回転する作品。回転するにつれて鏡には周囲の景色が万華鏡のように映り込む。「回転する迷宮」では鏡を張った柱がゆっくりと回転していて、中に入ると鏡に映る景色が次々と変化する。自分がどこにいるのかわからなくなる不思議な装置だ。

自転車をこぐと天井から吊るされた電球が動いたり、近づくとそれまで変化していたネオン管の光が止まってしまう、といった作品も。「見えない迷宮」は赤外線によって展示室全体に見えない壁が作られている作品。観客は赤外線受信機で透明な壁を探知しながら奥に進む。これは観客の頭の中にしか存在しない迷路なのだ。

意外な仕掛けに楽しくだまされていくうちに、何かが解放されるような気持ちになるはず。特徴ある円形の建物を遊びつくせる展覧会だ。

text:Naoko Aono

『イェッペ・ハイン 360°』

2011年4月29日〜8月31日
金沢21世紀美術館
石川県金沢市広坂1-2-1
10:00〜18:00(金・土〜20:00)
月休(5月2日、7月18日、8月15日は開場)
7月19日休
一般1000円
http://www.kanazawa21.jp/

1「光のパビリオン」2009

photo:Jan Mot
2 
「変化するネオン彫刻」 2006
photo:Anders Sune Berg
3「回転する迷宮」 2007
photo:Tate Photography

Courtesy: Johann König, Berlin, 303 Gallery, New York and SCAI The Bathhouse,Tokyo