honeyee.com|Web Magazine「ハニカム」

Mail News

London Calling Tokyo at Tokyo Hipsters Club

London Calling Tokyo at Tokyo Hipsters Club

ブリティッシュ・ロック史を鮮やかに彩ったデザイナーへのトリビュート。

10 11/15 UPDATE

イギリスでパンク・ムーブメント全盛の1977年、それまでとは違う鮮烈なサウンドをひっさげたパンク・バンドがデビューした。そのバンドの名前は「ザ・クラッシュ」。79年のアルバム「ロンドン・コーリング」を大ヒットさせ、現在に至るまでロック史に大きな足跡を残している。この「ロンドン・コーリング」は音楽だけでなく、独特のジャケット・デザインでも強い印象を残した。

このジャケット・デザインを手がけたのがイラストレーターであり、グラフィック・デザイナーのレイ・ローリー。「ロンドン・コーリング」の後もブリティッシュ・ロック界に多大な影響を与え続けた彼は2008年に急逝。彼が残した作品と、彼に捧げるトリビュート作品が展示される。

グラフィック・デザインの傑作でもある「ロンドン・コーリング」に使われた写真は、ポール・シムノンがベースをステージに叩きつける姿をペニー・スミスが撮影したもの。スミスは遠くから撮影したためピントがあっていないこの写真を使うことに反対したが、ジョー・ストラマーとローリーが使用を決めてしまった。ピンクと緑の文字はエルビス・プレスリーのデビューアルバムへのオマージュだ。ロックの王とザ・クラッシュとの関係をユーモラスに表現している。

ローリーはその後も雑誌「The Face」で連載を持つなど、ロックやサブカルチャーの生き字引的存在として活躍した。経済的事情から独学で絵を学んだローリーは生前、若いアーティストの支援を望んでおり、彼の死後、イギリスでレイ・ローリー財団が設立された。今回、東京とロンドン、ニューヨークで行われるチャリティオークションの売り上げは財団に寄付され、アートを学ぶ学生の奨学金となる。

世代を超えて受け継がれるロック・スピリットがどんなふうに進化するのか、若手アーティストの将来も楽しみになってくる展覧会だ。

text:Naoko Aono

TOKYO HIPSTERS CLUB
2F ギャラリー
東京都渋谷区神宮前6-16-23 THCビル
tel. 03-5778-2081
12:00〜20:00
無休、入場無料

1London Calling Cover,
Created by Ray Lowry
©Pennie Smith
2Magda Archer
3John Squire