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代官山に"泊まれる展示"LLOVE、期間限定で登場。

10 10/13 UPDATE

「泊まれるアート」といえば越後妻有の「光の館」(ジェームズ・タレル)や「夢の家」(マリーナ・アブラモビッチ)が有名だ。いずれもアーティストが家の形をしたアートを作り、その中で一晩を過ごせるというものだ。

代官山に10月22日から11月23日までの期間限定で出現する「LLOVE」も"泊まれる展示"。ホテルの客室をモチーフにしたインスタレーションに泊まることができる。会場となる「代官山iスタジオ」はもともと、奈良県が職員宿舎や会議場として使っていた築約40年の建物だ。

その3階にある和風旅館のような部屋8室がリチャード・ハッテン、ヨープ・ファン・リースハウト、中山英之、永山祐子ら、日本とオランダ8組のクリエイターの手によってダブルルームになる。おもしろいのはオランダ人たちが部屋を塗りつぶしたりして元の和室の雰囲気をがらっと変えてしまうのに対し、日本人建築家たちは畳や襖、障子といったいかにも和風なエレメントを何らかの形で変換し、活かしていること。慣れ親しんだ建具や部材が、無意識のうちにデザインにも影響している。

同じく3階のもと洋室だった6室は長坂常と建築やデザインを学ぶ学生たちのワークショップによって、シングルルームにリノベーションされた。こちらは2部屋ずつ、それぞれ壁を共有している。クローゼットを開くと隣の部屋のクローゼットにつながっていたり、片方の部屋のハンガーにコートをかけると隣の部屋のハンガーが上に上がってしまったりする。そんな仕掛けが、たまたま隣の部屋に泊まった知らない者どうしの微妙な距離感を縮めてくれるのか、それとも?

1階のテラスにはユトレヒトがプロデュースするブックショップ「BOEK DECK」、国立新美術館地下の「SOUVENIR FROM TOKYO」初のサテライトショップ「SOUVENIR FROM TOKYO + AMSTERDAM」、日本庭園が見渡せるカフェ、お風呂でアートが楽しめるバスルーム・ギャラリー「YOKUJO」などが入る。これらは宿泊者でなくても利用可能(入浴は宿泊者のみ)。ホテル・カフェ運営はトランジットジェネラルオフィスが手がける。昼間、客室にしつらえられたインスタレーションを見学し、カフェで休憩する。夜の代官山散策を楽しみ、客室に泊まって作品の一部になってみる。期間はわずか1ヶ月。幻のように消えてしまう前に、体験しておきたいイベントだ。

text:Naoko Aono
photo:Takumi Ota

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10月22日〜11月23日
代官山iスタジオ(東京都渋谷区恵比寿西1-36-10)
http://llove.jp/
tel. 03-3461-8813
客室の見学はアポイントメント制(info@llove.jp
宿泊の問い合わせはウェブ及びhotel@llove.jpまで


1シングルルームはそれぞれ隣り合った壁を共有している。時計も壁に埋まっていて、文字盤の一部しか見えない。

2nagayama1永山祐子デザインの客室。砂漠の中でキャンプしているような雰囲気。